「ミッションの確認/再考」? (4)
「IT事業」は、「海外の現地とも連携」「海外の現地のIT 産業の発展に寄与」「人と技術の交流に寄与」「日本およびカンボジアその他の国の情報化を促進」する、つまり、少なくともなんらかのかたちで〈二国間にまたがる事業〉として行なわれなければ定款外の事業である。
〈日本またはカンボジア〉、ではない。
第4条 この法人は、第3条の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。
(1)国際協力の活動
(2)地域安全活動
(3)職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
(4)情報化社会の発展を図る活動
〈NPO法〉別表の17分野のいずれかに該当するだけでは、その事業が〈特定非営利活動に係る事業〉であることにはならない。
第5条 この法人は、第3条の目的を達成するため、特定非営利活動に係る事業として、次の事業を行う。
(略)
(7)国内におけるソフトウェア開発事業
(8)現地NGOと提携しての、現地でのソフトウェア開発事業(オフショア開発事業)
「IT事業」はまさに(7)だが、これも単なるトートロジーである。
「不特定かつ多数の者の利益」がどう図られるのかは、いっさい説明されていない。
村田 東京都の許可が下りればできるんです。
とはいえ、活動資金の調達など、
利潤の追求ではなく、
あくまでNPOの活動に必要と判断された場合ですが。。。
http://happycareer.jp/con/dreambar011/index.php?itemid=10429
この発言はマズいでしょ? 村田早耶香 理事長。
所轄庁が個別の事業に特段の「許可」を与えることなどあってはならないのだ。
基準を満たす団体は一律に認証される。そういう性格の制度なのだから。
10月に二つの大きな変化がありました。一つはIT事業の中でやることが決まったこと。そして二つめは仲間が劇的に増え始めたことです。 いまはWeb制作の一部の工程に特化して能力をつけ、営業先を絞ったため、ひっきりなしに仕事が来るようになりました。
http://d.hatena.ne.jp/kentaf4/20060527
つまり、2005年10月に、定款に〈その他の事業〉として定めておくべき「活動資金の調達」を目的とした事業を始めた、ということになる。
強制的な商業的性的搾取を防止する活動を、持続的かつ発展的に行うことにより、全ての子どもたちが未来への希望を持って生きられる世界を実現させる。
ポリシー
・全ての子どもが笑顔で生きられる世界を創ります
・最終的な解決のために、持続性・拡大性のある事業を創ります
・支援する、支援されるという立場を超えて、ともに成長できる関係を創ります
http://www.kamonohashi-project.net/about/
「IT事業」の意義は、ここには登場しない。
「持続性・拡大性」は現地での「事業」自体からもたらされることになっているのだし。
「ミッションの確認/再考」は、「IT事業」に関しては必須だろう。
そういえば、村田理事長はリオの「国際会議」に参加してきたのだそうだ。
とりあえず「ITの力」とやらで「児童ポルノ」拡散対策でもしてみてはどうだろうか?
あ、
もしかして「年収600万円」をめざす人々による「IT事業」ってこと?
[追記]
http://www.adm.fukuoka-u.ac.jp/fu844/home2/Ronso/Shogaku/C52-3+4/C5234_0369.pdf
福岡大学の教授の文章だ。
NPO法人が「時価総額世界一を目指すIT起業家と同じ」事業を〈本来事業〉としてできる、という認識が、すでに間違っている。
世間では、「かものはしプロジェクト」は「IT事業」の利益を他の事業に充てている団体のように見なされているが、実際には〈IT事業の収益を他の収益事業の赤字で相殺している〉団体でしかない。
正しい申告がされているのならば。
「IT事業」単独の管理費は「収支計算書」にはなく、共通管理費を按分するかたちになっているが、
事務局費用はこれらの事業の間で、収入比率に応じて按分するため、収入額が相対的に大きいIT事業がより多くの事務局費用をまかなっています。
そのため、税引前当期純利益は222,110円となりました。
http://www.kamonohashi-project.net/about/finance/
これは、当局からいつ突っ込みが入ってもおかしくない部分である。
非収益部門の経費を収益事業の損金として処理している、ということになりかねないのだから。
「収入」の比率ならばまだいいが、「利益」、つまりいちど対応する経費を引いたものを基準にさらに共通経費を按分する、というのは、どういうことなのだろうか?