「8000人から20000人」? (5)
「東京都学生起業家選手権」(2003年3月)の時点では、賞金300万円が獲得できず「有限会社」として「団体」が設立できないのならば、「夢をあきらめて、このまま、ふつうの人生を歩んでいこうと」思っていたのだそうだ。
ここでいう「夢」って、「団体」=「会社」設立じゃん。
「ふつうの人生」=「就職」。
「児童買春問題」を解決したいわけではなく、「児童買春問題」を〈事業として〉解決したい、ということだ。〈事業〉をしたいから「児童買春問題」に取り組んでいるのかもしれないが。
講演で村田理事長は、国内外の資料にはほとんど目を通したと発言している。もちろん現在も情報収集を欠かさないだろう。
ではなぜ認識は「15000人」→「8000人から15000人」→「8000人から20000人」という変遷をたどるのだろう?
資料に対して真偽を確かめることなく、「これ使えそう♪」とつまみ食いしているだけだからだ。
http://www.kamonohashi-project.net/problem/
もはや原形をとどめていないが、この文は『カンボジア、地の民』からの引用をもとにしているらしい。
同書には人身売買について50ドルから400ドルという相場が示されているらしいが、「400ドル」の部分は〈利用〉しない。
事態の悲惨さをことさらにあおるためだ。
これも同じ。
http://www.ngoforum.org.kh/Development/Docs/child_prostitution.htm
業者にとっては〈カネになる〉から、やめられないとまらない、のである。
そういった背景は省略して(あるいは気づきもせず)、〈たった6歳の女の子が5ドルで体を売る〉といった絵を描こうとする。現実と乖離したものとして、世界が作り変えられている。
Most current published estimates of the numbers of sex workers, under-aged workers, and trafficked women and children in Cambodia, cannot be relied upon. Publications by NGOs and international organizations often print incorrect numbers that have no basis in fact. These errors appear to be quite unintentional, and may originate in something as simple as a typo. But the error is printed, and others then cite it uncritically as fact. Other published reports then cite such numbers uncritically and without checking their validity, and then those reports in turn become the source for further such printed estimates.
http://www.slate.com/Features/pdf/Trfciiif.pdf
時代の流れに逆行して、日本で"incorrect number"を広めている、しかも全力で。
それが「かものはしプロジェクト」。
http://komazaki.seesaa.net/article/111933677.html
と、「NPO法人 フローレンス」の駒崎代表は書いている。
身近に「自分たちの食いぶち保護のため、問題を創りだし、維持し続けるような」団体があるような気がするのだが。
「8000人」もいない、ベトナム人を除けばさらに少ない、ということになれば、「一つの地域で、50人ぐらいを対象に、小さくやっていても、なかなか問題解決しない」(青木健太 副理事長)という自覚のある「ファクトリー」事業は一気に説得力を失う。
「20000人」という数字を出すのは、やめられないとまらないのだ。
カンボジアの約13400の村のどこでも、毎年のように誰かが売られるという「問題を創りだ」すために。
「かものはしプロジェクト」は「カンボジアの児童買春問題の撲滅」を使命とする団体であり、先に問題が解決してしまえば「目的とする事業の不能」となり、解散するか、他の国に展開するか、あるいは「日本およびその他の国」の橋渡しとして「情報化社会の発展」に努めなければならない。
だが、長期的な展望としてあるのは「10年間で年収600万円」だけだ。
問題を「維持し続け」るつもりでなければ、こんな数字だけがポロっと漏れたりはしない。
2007年の「年次報告書」に「全体の動きが止まることを回避するために(略)独自のファクトリーを立ち上げ運営をする」とある。
「児童買春問題」の解決を遅らせないために、ではない。
現地事業が止まれば「サポーター」数の維持に問題が生じるし、「資金調達」という口実で実施している「IT事業」を単独で行なう論理もないのだ。
だから、新「ファクトリー」は「食いぶち保護」のためのショールームを兼ねている。
そこに働くのが「慣性」ならばまだいいが、アタマの痛いことに〈加速運動〉だ。
「社会起業家」ってのは、二枚舌の嘘吐きのことをそう呼ぶのかい?