2008年度「年次報告書」を読む(13):「サポーター事業部と連携」
「サポーター事業」に関する活動に「IT事業部」メンバーが参加することがあったとしても、「IT事業部」そのものが〈特定非営利活動に係る事業〉のために存在していることにはならない。
「年次報告書」の発送をすればNPO法人が〈本来事業〉として「ダイレクトメール発送代行事業部」を置いていいということにはならないし、「チャリティ・コンサートに音楽出版事業部所属のアーティストが出演しました」ということがあれば「芸能プロダクション」を経営していいということでもない。
まったく同じことだ。
公益のため非営利でDM発送業や芸能プロをNPO法人として行なうことは、不可能ではない。稲川素子事務所のように外国人だけを所属させたうえで、外国文化の紹介あたりに内容を限定すれば簡単に通るだろう。
活動の自由度は、株式会社としたときとはまったく異なり、あまりメリットはないのだが。
「IT事業部」の仕事がなにかといえば「資金調達源」でしかないのだから、それは〈その他の事業〉とすべきもので、違法行為である。
〈その他の事業〉とすることができないのは、
「固定費や売掛金」のほとんどは「IT事業部」関係であり、〈その他の事業〉の運営に過大な支出を伴うとして、「ガイドライン」に確実に抵触する、ということもあるだろう。
今成功しているNPO「フローレンス」が300万円前後だったと思うので、自分達は順調な方ですが。
目標は、今後10年間でNPOでありながら年収600万円を目指しています。
http://www.cccjp.org/blog/?eid=13
予算案含め、3年連続で6000万円前後の売上げ。メンバーは10人前後。
けんた君はなにを寝言をいっているのだろう。
「資金調達源」である「IT事業部」の収支差額は2973万円。これがそのまま「調達」額であるかといえば、そうではない。
そうであるとするならば、「IT事業部」占有分の家賃等を〈キックバック〉していることになってしまうのだから。
「サポーター事業」の収支差は2206万円。
途上国で活動するNGOとしてみれば、5179万円から日本の事務所経費をかなりの部分を引いた、予算額4000万円規模の団体でしかなく、さらに、そのうち1000万円以上を本来の目的以外の事業の「固定費や売掛金」のために内部留保しようというのである。
「持続的・拡大的」に事業を行なえないのは、この構造による。
ダラダラと続けているという意味では「持続的」であり、自分たちの給料のためという点では「拡大的」ではあるのだが、事務局経費含めたカンボジア事業費は1200万円(06年度決算)、1600万円(07年度決算)、1700万円(08年度決算)、と、ふざけたことになっている。
しかし、NPO法人でも活動資金を得るために収益事業を行うことや、スタッフが報酬を得ることは認められているのです。また、かものはしプロジェクトのIT事業がさまざまな日本企業の情報発信を支援できていたこともありました。
(『いくつもの壁にぶつかりながら』p.162)
村田 東京都の許可が下りればできるんです。
とはいえ、活動資金の調達など、
利潤の追求ではなく、
あくまでNPOの活動に必要と判断された場合ですが。。。
http://happycareer.jp/con/dreambar011/index.php?itemid=10429
これらの説明はまったくのウソであり、「活動資金の調達」ならばその旨を定めた定款の認証を受ける必要があるのだが、「かものはしプロジェクト」はそれをおこたった。2005年10月ころのはなしだ。
その結果として、「寄付金を運転資金に充てるIT事業部」を手に入れ、メンバーに年商わずか6000万円でそれなりの給料を払うことができている。
それが制度上好ましくない状態であるとわかっているから、「カンボジア人スタッフが写真を切り抜いた商品画像」(2007年度「年次報告書」)、「カンボジアでの事業実現可能性の検証調査」(都への2007年度「事業報告書」)と苦しいいいわけを続けているのだが、それでは「IT事業」全体がNPO法人の〈本来事業〉たりえないのは明らかだ。
[追記]
別方向から考えてみよう。
寄付ががんがん集まっちゃって、その8割とか9割を現地事業に注ぎ込んで、そこでも儲かっちゃって、年俸1000万円ずつでもまだ余る、ってことになったときに、「活動資金の調達」手段だった事業部の構成員の給与を寄付で補填していいかといえば、そんなことはない。
本当に「成長」するつもりがあるのなら、向こう数年で「IT事業部」をなんらかのかたちで処分する必要があるのだと思う。
「IT事業」が「資金調達源」であるためには、「コミュニティファクトリー」がひとりだちして利益をもたらすようになっては困るのだ。